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06

支援係長(障害者生活ホーム)

Profile

No.06
氏名大場貴弘
入職年2007年入職(中途)
出身学部社会学部 社会福祉学科卒
所属障害者生活ホーム
役職支援係長

※所属・肩書は取材日(2021年11月26日)のものです

01.経済学科から社会福祉学科へ

 大学入学にあたっては心理学科を希望していました。姉が看護師をしているため、自宅で自己研鑽のビデオを観ていたことがあり、私も一緒に観る機会がありました。例えば、それは、自閉症の小さな女の子が柱に頭をぶつけている自傷行動の様子や、障害のある方の特性に対して理解を深める内容のビデオなどでした。また、自宅に障害関連の書籍も多くあり、そのような環境から自然と心理学や社会福祉に興味を抱いていたからです。

 しかし、大学受験で合格したのは、ある大学の経済学科だけでした。父親は、せっかく受かった大学に入学してはどうか、という話をしてくれたのですが、自分が目指していた専攻とは異なります。もう1年勉強して、再度希望する学部の受験に挑戦したいという気持ちがありました。父親と話し合った結果、大学に在籍しつつ予備校に通って再受験をする、ということを認めてくれました。

 父親は、途中で再受験を断念するだろうと考えていたのかもしれませんが、自分としては初志貫徹したいという強い想いがありました。午前中は大学に通い、大学の単位も取りつつ、午後は予備校で受験勉強をする、といった大学生活を送りました。そして1年後に念願が叶い、希望の大学の社会福祉学科に合格することができました。

 経済学部で取得した単位は、進学した社会福祉学科でも単位認定を受けられたため、経済学科での授業も活かすことができました。高校時代にラグビー部だったこともあり、大学でもラグビーのサークルに入って活動していました。ただ、大学生と予備校生という勉強に明け暮れた日々を送っていたためか、入学後は多少気持ちの緩みがでてしまいました。大学の授業の合間を縫っては遊びに出掛けることもあり、社会福祉士の国家試験の準備はできませんでした。

 それでも社会福祉の学びは深めることができたと思います。充実した4年間の学生生活を経て社会福祉主事任用資格を取得し、就職することになりました。

02.大学卒業後の就職

 大学卒業後は、まったく社会福祉とは異なる他業種の仕事に就職しました。主に身体を酷使する仕事だったのですが、それと並行して、営業企画部の営業職として多くのお客様と接してきました。お客様と積極的にコミュニケーションを図り、お客様のご要望をいち早く把握してそれに応えられるよう心掛けていました。

 私は幼少期からある競技が好きで、大学時代から社会人になってもその競技を継続していました。社会に出てからも本格的に競技に取組む中で、強靭な体力を身に付けました。加えて、忍耐力や精神的な強さ、物事を継続する力、礼儀、マナー等を身に付けることができました。それらは営業の仕事に多いに役立ったと思います。さらに営業の仕事を通して、コミュニケーション能力を高めていきました。

約5年半勤務する中で、社会福祉の分野で働きたいという気持ちが強くなってきたため、転職をすることにしました。

03.大田幸陽会に入職した理由

 社会福祉主事任用資格を保有していたことや社会福祉を学んできたこともあり、その知識を活かせる職場を探していました。転職サイトで大田幸陽会の障害者支援の求人を知り、応募しました。未経験の職種でしたがチャレンジしてみようと考えたのです。

 最初に配属された新井宿福祉園では、利用者さんの中に強度行動障害のある方がいらっしゃいました。その方は視力にも障害をお持ちでした。コミュニケーションというのは、バーバル(言語的)コミュニケーションだけではなく、言語を介さないノンバーバルコミュニケーションも非常に重要です。こちらの想いをどのように伝えたらよいのか、ということを考えているうちに、障害のある方への支援について深く学びたいと思うようになりました。日々の現場での学びを継続しつつ、帰宅後に勉強を重ね、国家資格である『介護福祉士』を取得しました。

私は社会福祉を専攻していましたが、当法人は他の専攻の方でも積極的に受け入れています。ただし、未経験の仕事に就くためには、自分からアクションを起こさない限り、何も始まらないと思います。私も、強度行動障害のある方との出会いがなければ、もっと学びたいという意欲にはつながらなかったと思います。その方がなぜ怒っているのか、なぜこのような行動に出るのかということを、ABC 分析の手法を用いて考えています。

(注:ABC分析とは、先行事象(Antecedent)、行動(Behavior)、結果(Consequence)の枠組みで考える行動の分析方法のこと)

福祉未経験だから当法人が全て研修してくれる、教えてくれるという受け身の姿勢では務まらないと思います。まずは、知的障害とはどういうことなのだろうかなどと「学ぼう、知ろう」といった姿勢を持つことが重要なのではないかと思います。主体的に教えを乞うという行動が大切であると考えています。

04.現在の仕事内容

 入職後、最初は新井宿福祉園に配属になり11年在籍しました。次に大森東福祉園に異動となり、1年間勤務しました。現在は、障害者生活ホームで支援係長をしています。 

法人全体ではグループホームを8ユニット運営しており、そのほかにサテライト型のグループホームとして民間のアパートの1室を借りている方が2名いらっしゃいます。私は全体のマネジメントや支援全般のサポートをしています。また、実際に支援の現場にも出ることもあります。

05.大田幸陽会に入って良かった点

 福祉の仕事が未経験でも柔軟に受け入れてくれるところに魅力を感じています。また、新井宿福祉園を見学した際、当時の支援係長はじめ支援の職員の皆さんとお話する機会がありましたが、すぐに打ち解けることができました。そのように、人を温かく迎え入れる雰囲気や風土がある点がとてもよいところだと思います。

 また、わからないところは周囲の方々がすぐに、そして丁寧に教えてくれます。そのようなサポートの中、自分でも積極的に知識や支援技術を学んでいくためのアクションを起こせる環境であると思います。

06.今後の自分の仕事のあり方について

 今後は職場の働きやすい仕組み作りに関して、より一層取り組んでいきたいと考えています。現在のグループホームにおいても、仕組みやマニュアルは出来ています。それを更にブラッシュアップして、もう一歩踏み込んだものにしていきたいと考えています。人それぞれに多様な支援の仕方があることはよいことですが、法人の理念に基づいた、統一されたマニュアルの整備は必要であると思います。そのことによって、職員の誰もが自律的に、かつ標準的な手順でサービスを提供できるようになります。そこが見える化できると多様な人材を受け入れやすくなり、働く職員の負担軽減や働きやすい環境整備に繋がっていくのではないかと思います。

 私どもは、法人理念やビジョン、ミッションを掲げながら障害者支援に携わっています。その理念に沿って、職員の目線を合わせることも重要であると考えています。

07.大変だったこと、辛かったことの乗り越え方

 支援の進め方や個々の支援方法については、日々悩むこともありました。その際には、主に同期や同じ立場の職員、上司の方にも相談にのってもらいました。皆さん親身に受け止め、一緒に考えてくれましたので、とても心強く有難いと感じていました。

 通常業務の終了後に数人が集まり、皆で支援方法について話し合ったこともあります。当時から心意気のある職員が多く、話し込んでいるうちに気づけば遅い時間になっていたということもありました。

08.就活・転職活動中の皆さんへメッセージ

 やりたいことがあれば、それをやってみた方がよいと思います。私もある競技に本格的に挑戦したのは23歳になってからでした。たとえ遠回りになったとしても、やりたいことをやってみることで後悔することはないと思います。自分でその責任を引き取ればよいのではないでしょうか。

当法人は社会福祉専攻でなくても、他の業界で働いていた方でもやる気さえあれば受け入れる土壌があります。入職してから研修もありますし、少しずつ学んでいくことができます。少しでも興味・関心があれば、ぜひチャレンジしてみてください。